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かんたん保存キットプレゼント企画を斬る
 ソニー4Kハンディカム購入者全員プレゼントとしてバッファロー社製の外付けハードディスク(HD-LCU3-D 1TB)とUSBからマルチ端子への変換ケーブル(VMC-UAM2)が送られてきた。

 早速、接続して試そうかと思ったら、ハンディカムでACアダプターを使用しないいけないとの警告が出た。電源つないでダイレクトコピー機能を試すと、もらっておきながら毒を吐かねばいけない実用上の障害があった。いや、もらったからこそ使わないであろう機能の評価ができた...


 ダイレクトコピー機能だが、ACアダプター必須にはガッカリした。ダイレクトコピー用のケーブルは多くの製品との接続が考えられ、バッテリー駆動の外付けハードディスクへ撮影現場でデータを退避させようと思っても不可能だと突きつけられた。途中でバッテリーが切れたらヤバイからだろうが、この制限にも最近のソニーの保守的、視野の狭さが見える。

ところが、そんなふうには使いづらい結果も出てきた。




・ダイレクトコピーを試す

 VMC-UAM2 という直接つなぐためのケーブルは家で使うものとは定めていないし、大型のハードディスクで使うとは限らないのだが、仕方なく電源にACアダプターを使って試しに先日撮影してきた花火大会のデータをダイレクトコピーしてみた。

   遅っせぇーーー

 ハンディカムはUSB2.0だからなんて関係ない。内蔵メモリーからなのにその現実の上限速度すら程遠い。パソコンとの接続は高速だろうともハンディカムからの直接コピーは劇的に遅い。XAVC-S 100Mbps画質な4K動画 38分くらい撮影した18GBをコピーしてみたら経過進行表示が進まないから放置したところ、なんと40分もかかってしまった!
(注意: 経過時間の横棒表示は全体が100%じゃないから終了予測はできません)


 バッファロー社製外付けハードディスクHD-LCU3-Dをパソコン(CPU i7-3770K, Windows7Pro)と接続し、6GBファイルを転送したら USB3.0接続時で書き込み50MB/秒、読み込み70MB/秒。USB2.0接続時が書き込み34MB/秒、読み込み34MB/秒でした。どうやらUSB2.0の場合はハードディスクは早いがインターフェースの制限のようです。

 試験では HD-LCU3-D は、まっさら状態にしてる。パソコンではそれより高速なハードディスクを使用。この結果からもパソコンで使うかブラビアに繋げてテレビ録画に使うなら十分に機能する。

 ハンディカムとパソコンをUSBケーブルで接続し、ストレージとして認識してコピーする場合にはここまで遅くはないので、内蔵メモリーが遅いわけでもなく、USB2.0も悪くない。ダイレクトコピー実験と同じ18GBファイルを直接MasStorageモードでパソコンと接続した場合のコピー時間は約16分であった。

ようするに、

   「ダイレクトコピー」機能が遅い

これを使ったらパソコンのハードディスクへ早くコピーできるものが2倍以上もかかってしまう!
それでも撮影現場でデータを退避させたいことはあるからACアダプター制限は外して欲しい。




・内蔵メモリーじゃなくSDカードに記録したほうが良い

 SD(SDXC)カードを使っておけばUSB3.0のカードリーダーが使えるため、高速でパソコンと接続することができる。SDカードの最大限の速度をもってしてパソコンにデータを転送することができるのだ。内蔵メモリーを使ってしまうとカメラ本体のUSB端子を使うしかなくなる。内蔵メモリーからSDカードにコピーするのは二度手間でかえって遅くなるから意味なし。

 内蔵メモリーじゃなくSDカードを使っていてもダイレクトコピー機能は使えるし、SDカードを複数枚所有しておいて新しいのに交換すればデータ転送作業自体が不要になる。

パソコンが使えない人はここで書いた多くの問題を甘んじて受け入れるしかない。




・SDカードの使いまわしには有用か?

 10年前(2005年)はデジタル一眼レフの入門機種と4GBのCFカードの販売価格(7万円)が同価格だった。今でも憶えてるが、足りなくなってサンディスクの1GBをヨドバシカメラで2万円で調達したのに1200万画素のRAWモードで50枚しか入らなかった。

 ですから上級機を使っていてもCFカードの費用は重くのしかかっていた。それで、PSD(ポータブル ストレージ デバイス:外付けハードディスク)というメモリーカードからハードディスクへコピー機能がある製品がもてはやされていた。その後、CFカードの価格が劇的に下がり製品の意味がなくなっていたが、CFカードより安くなってるSDカードでさえ4Kビデオ録画では使う量が違うため大容量ハードディスクへデータを移す装置が復活して欲しい。

 PSDはメモリーカードの差し込み口とハードディスクが一体化され、コピーだけができるバックアップ専用の装置。私が持っていたのは単三電池(ニッケル水素電池)4本で4時間は使えた。前記のとおりメモリーカードの低価格化から意味を失ったが、メモリーカードが出回っている現状で必要となると製品寿命は長そうである。

※ 参考: 2015年8月現在、外付けHDD 3TB および SDXCカード UHI Class3 128GB の販売価格は1~2万円と同価格

 ハンディカムのダイレクトコピー機能が遅くても、ACアダプター制限があっても、使う容量が大きすぎてSDカードの価格が高いことの対策としては使える。4K録画という高速/大容量が必要になり、記録メディアに関して10年以上前の非効率に戻ってしまったのだから。

 ダイレクトコピー機能では作業中にカメラは使えないのが大問題。SDカードに録画して、PSD(ポータブル ストレージ デバイス)があれば撮影中にコピー作業を行えるので、最低SDカード2枚で連続的な撮影が行える。使ってた過去からすると撮影している時間のほうが長いため、コピーのほうが先に終わるから間に合わないことはない。何か怖いのはメモリーカードを初期化するとき。ハードディスクが壊れてたら全部消えるから。RAID-1になってるのがあったらいいが、こういうのは市販されると無意味な値段になるから、高速・大容量型SDカードの販売価格がガンガン下がるのを待つしかないだろう。


 写真で考えたら128GBなんて仰天の容量であるが、4K動画で計算するとカメラの代金に対する記録メディアが占める割合が高くなる。そのくせカメラ内蔵メモリーは今までと同じ64GBしか入ってないから100Mbpsモードで1時間15分しか撮れない。AVCHD時代と比較すると4~5分の1の時間しか録画できない。

 内蔵メモリーだけでは足りないから旅にはメモリーカードが必須となったが、物理的に貧弱なSDカードはあまり使いたくないわけで、しかも大容量のを買うと危険性が増す。256/512GBなんて大金叩いて買う気にはなれない。メモリーってのは大容量のほうがコストパーフォーマンスが悪い。

 今はマイナー商品だが、2.5インチHDD用のバッテリー内蔵ケースは存在しており、それと1TBハードディスクでも1万円ちょっとで、2TBでも2万円程度。1万円じゃ4Kハンディカムで使えるSDカードは128GBしか買えない。移動時間にデータを退避させようにもACアダプター制限があっては何もできない。




・総評

このプレゼントでヤフオクが賑わってるんじゃないかな。

 試験結果からダイレクトコピー用ケーブル(VMC-UAM2) なんて2千円以上もして買いたい物ではないと。タダでもらっておいてなんだが、購買意欲を高めるプレゼントだとしてもバッファローとソニーの在庫を押しつけられた気分になった。

 せっかくなら安くても有益なものが欲しかった。5000~1万円返金とか特に大量消費がある SDカード と バッテリー プレゼントのほうが数段よかった。ソニーもSDカード発売してるからそっちなら、押しつけじゃなくもらってよかったと思うよ。

メモリーもバッテリーも消費するのは私だけじゃないんだから我がまま意見じゃない。

 テレビ通販だって、もっと安い機種にさえ付けるとかやってるからセットで考えると劇安店より安くなってしまう。ようするにアクセサリー商品は市場では販売価格が高くコストパーフォーマンスが悪い。出荷元からプレゼントしてくれるなら低い経費で高い効果を生むことができるのに、もはや今のソニーにそうしたオツムは存在しなかった。




・結論

ACアダプター制限を外してくれてもコピー時間が2倍以上ではバッテリー消費が激しい。
ダイレクトコピー機能は使わず、SDXCカードをたくさん買うしかない。

 ハードディスクにコピーするにしてもバッテリー同様に1日分の容量は持ってる必要がある。ハードディスクよりメモリーカードのほうが信頼性は高いから、仕事だったらハードディスクにコピーは安全対策であり、コピー後にメモリーカードは消去できない。高価な高速SDカードから安価なSDカードへコピーする方法もあるが、バックアップならハードディスクでも大差ないでしょう。



ハンディカムは FDR-AXP35 ファームウェア Ver.1.00。ダイレクトコピー実験にはカメラ内蔵メモリーを使用していますが、動作比較のために使用しているSDXCカードは サンディスク SDSDXPA-064G-X46、トランセンド TS128GSDU3 (Class10, UHS-I U3)です。
| emisaki | 21:19 | comments (0) | 映像音声::周辺機器 |
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