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悪い職人はいつも道具をけなす
 調べものの過程で見つけた言葉。A bad workman always blames his tools. の意味は「悪い職人はいつも道具をけなす」ということわざか。「良い職人は良い道具を使う」もまた真でしょう。写真の場合は機材より状況がいかに大切かも痛感しているし、また現在の機械だと技術は二の次だと撮っていればわかる。必要な腕とは技術面じゃなく論理派の私に足りない芸術性のことだ。仕事なら好んだ状況をも作り出すことができるのだが一般的には不可能な場面が多い。よって状況を作り出せない場合には機材の能力は必要である。報道、モータースポーツなどカメラの性能向上がなくては撮れないのも多い。ようするに撮影技術を語る前に機材が左右してしまってる時代...

・機材の進化を遅らせる人

 何度か過渡期を見てきた側として、AEのとき、AFのとき、そんなの使えないと言う迷惑な人たちが一定数いた。ところが報道カメラマンなんぞはミノルタα-7000に飛びついたのが多かったことは当時の記者会見での音でわかってた。AEもAFもだが第一線のプロより、個人のマニアとか個人レベルの業者が拒絶していた。メーカーは突き進む方向にいたため現在までの進化がある。

 1999年頃、秋葉原の秋月電子にて日亜化学の高照度白色LEDをバラ売りしているのを発見。当時としては劇的な明るさだから照明に使えるだろうと56灯のテストを経て300灯を自作(組み立て)でそれなりに使えることが判明、2003年にはパワーLEDと呼ばれるのが登場するが、革新的と言う人がいる一方で否定派も多かった。AFもLEDも当時否定した奴らの顔が見たくなった。

 BSから遅れて数年、2004年頃に送信出力が上がってハイビジョン地上デジタル放送が見られるようになるとテレビでピンボケばかりを見せられることになった。その頃、多数の映像制作会社と関係があったため情報を引き出すことができたのだが、くだらないプライドが邪魔をしているだけであった。テレビを見てる側としてはピントも合わせられないくせに人間の限界を思い知れって。なぜなら写真のほうは高画素化が進んでおりハイビジョン解像度なんて越えてるから高精度なオートフォーカスなしでは合わせられないことを失敗を通して痛感できてた。街歩きロケならまだしも場見ってるくせにピンボケすることがあるのが「ズームインSUPER」から続いてる番組だからね(オープニングや天気予報の屋外)。背景の木々がコントラスト高いので合わせてしまうのだろうが12年経ってもその問題に気づきやしない。

 当初の性能は悪くても、ある場面では十分である。例えば、出演者が並んでるという単純な構図でピントが後ろに突きぬけているなんて失態は、単純なオートフォーカスで十分に対処できる。導入を阻むのは「悪い職人はいつも道具をけなす」以前の問題なのだ。プロならちゃんと仕事ができてから文句を言って欲しいものだ。スタジオカメラは高性能化から大きな画面で解像度も高く、一部箱型レンズではオートフォーカスも搭載されピンボケは激減したが、最も必要であるENGのほうが機材もカメラマンの質も変わってない。10年以上前から言ってるが、あんたらがダメなのではなく、もはや人間業じゃ無理なんだからくだらんプライドは捨てろと。早く放送用ビデオカメラとレンズにはオートフォーカス(常時使用とは言ってない)と手ブレ補正を付けるべき。

 性能向上や新しいものは使いたくなければ使わなければ良いだけ。かたくなな人が使う上で迷惑はかけてない。だが、職業でピンボケなんてプロじゃない。無理だから機械に要望するのが本当のプロ。




・自動露出(AE)とピント(AF)

 EOS 7Dを使っていて人間の目だと暗所だと思えないところでAFが動作しないことに何度も遭遇した。7D MarkIIの仕様と比べると測光で1段、AFで2.5段分の差があるから新しいのは性能がよくなってる。D810も弱いことが 2016年5月12日の DP REVIEW のD180レビューに記載されている。そのテストによると、D810が-1EV、7D markII -2EV、D750 -2.7EV。これは被写体条件によって変わるものだがテストでの同じ被写体条件では個体差は明確になっている。条件を厳しくしているかもしれないが同じ環境で複数メーカーの複数機種をテストしてる点は評価できる。

 7Dは売価がこなれてた2011年購入だが発売時期は2009年と6年も前だった。7D Mark2 は今が売価がこなれた時期で発売は2014年10月30日。冬にマップカメラの中古売り上げで7Dが1位だったことを考えると価格がこなれて乗り換え組みが多発したのかもしれない。すぐ買って使い倒すか、1年くらい待つかがコストパーフォーマンス良い。

 先に示したように性能も重要だが予算は無尽蔵ではないから販売価格は重要。Canon EOS7D Mark2と最近発売になったNikon D500の売価の差は現時点で10万円。レンズに費やしたほうが良いという考え方も。


・オートフォーカス(明るさ)

メーカー公表 AF検出輝度範囲
Nikon D500:-3~20EV / D750:-3~19EV / D810:-2~19EV (ISO100 摂氏20度)
Canon EOS 5D mark3:-2~18EV / EOS 5Ds:中央-2~18EV / (EF50mmF1.4USM使用ISO100常温)
EOS 7D: -0.5~18EV / EOS 7D mark2: -3~18EV

 EOS 7Dを使っていて人間の目だと暗所だと思えないところでもAFが動作しないことに何度も遭遇した。7D MarkIIの仕様と比べると測光で1EV、AFで2.5EVの差がある。

 D810も弱いことが 2016年5月12日の DP REVIEW のD180レビューに記載されている。そのテストによると、D810が-1EV、7D markII -2EV、D750 -2.7EV。これは被写体条件によって変わるものだがテストでの同じ被写体条件では個体差は明確になっている。条件を厳しくしているかもしれないが同じ環境下で複数メーカーの複数機種をテストしてる点は評価できる。

 動画モードでの連続オートフォーカスについては元々キヤノンからしても消極的だったわけだが、ニコンのほうが悲劇的なのはわかっている。追尾というより事あるごとにギクシャクした合わせ方をしていたが、キヤノンでもちょっと前の機種なら同じだ。ところがソニーのは接近または離れてゆく動体に対して連続的に追尾しているかのように見える。もちろんパナソニックでも動画(動体)のオートフォーカスに関しては素晴らしい。

 どうやら元々の写真機メーカーはコントラストAFについての経験のなさが災いしているのではないか。キヤノンはビデオカメラも売ってるんだけどな。それ以前にコンパクトデジカメでコントラスト検出によるオートフォーカスをやってきたはずだが、なぜ明暗が? 小型カメラは被写界深度の深さに救われてるとでも。

 レンズ一体型の小型機でも超望遠が搭載されてるのもあるし、デジタル一眼カメラより動画モードの搭載時期が早い。ならばコストじゃなくアルゴリズムと処理速度の問題だと思われると家電(動画、ビデオカメラ)メーカーのコントラストAFが素晴らしいのも当然。やはり経験から明暗が分かれてしまうのか。

 私が持ってる EOS 7D の時代でさえビデオカメラと同じような常にAFを駆動させたまま撮影する能力は持ってなかったのだし、ニコンは当初から動画に消極的だ。そのあたりの技術ってミラーレスに関わってるはずだが、動画ノウハウが少ないニコンとキヤノンともイメージセンサーに小細工する技術で逃げに走ってる。

 DP REVIEWでも旅行で使うには良いカメラだとしている。発売年度も値段も異なるため Canon EOS 5Ds RとかSONY α7R IIと比べても仕方がない。Nikon D810の中古とD500の売価が同じであることからの比較である。


・オートフォーカス(計測点)

 ニコンで比べるとD610, D750は自分が今まで使ってきた機種からすると触ればオモチャみたいで、フルサイズにも関わらず価格を下げるためDX(APS-Cサイズ)の部品が流用されオートフォーカスの計測点は画面の中央に集まってしまってる。よってオートフォーカスに頼りながら撮影する場合には画面を有効活用できず日の丸構図になりやすい。

D5(FX)、D500(DX) : マルチCAM 20K
D750(FX)、D7200(DX) : アドバンストマルチCAM3500 II
D800/E、D810(FX) : アドバンストマルチCAM3500FX
D7100(DX) : アドバンストマルチCAM3500DX
D5300、D5500(DX) : マルチCAM4800DX
D600、D610、Df(FX) : マルチCAM4800

 Canon EOS 7D MarkIIは中央1点だけf8レンズに対応、EOS 80D 中央27点、Nikon D610は中央7点、D810は中央1点、D500中央19点がf8に対応してる。暗いレンズを使ってるわけじゃないのに中央の1点を使いたくなるのは合焦しやすいから。

 最近の中級機以上は全点もしくは大部分にクロスセンサーが搭載されているが、たぶん世の中の映像にてクロスセンサーの配置が「+」より「×」斜めのほうが良いのだと思う。全点がクロスっても中央1点のみ「×」配置で他は全部「+」なのがキヤノンの製品解説からわかる。

※ 画面に対しての比率 (Nikon)

 ニコンの一眼レフデジカメではイメージセンサーの大きさの違いからFX(35mmフルサイズ)、DX(APS-Cサイズ)という名が付いているが、ファインダーを覗いてオートフォーカスの計測点を選択できる範囲はイメージセンサーが小さい機種(DX)のほうが広い傾向。DXのD5500とFXのD610は実寸では同じ大きさであることがわかる。横方向で言うとD610は画面の42%だがD5500だと約63%の範囲で計測点を選べる。

 思考停止している人なんぞフォーカスロックを使えば良いとか言うわけだが、カメラ動かしたり動体を追って連写するのにフォーカスロックとはアホかと。それが正論なら1点で良いことになるから世の中には決まった状況しか語れない人もいることに注意したい。現実にはD500の153点あっても隙間にくればピンボケしてしまう。ならば、もっと少ない機種では被写体がAF計測点に入るように追うならカメラのほうを動かすことになる。

 構図の決め方に三分割法があるがD610やD750だとその場所にAFセンサーが存在しないほど狭い。前記で示したように周辺部と中央部の性能の違いからも日の丸構図へと追い込まれてしまう。構図を優先するとしても「下手な鉄砲、数打ちゃ当たる」すらできないことがほとんど。景色だって刻々と変わっているから撮り直せるほうが稀だ。撮影スタジオでモデルや光源を言うとおりに動かしているわけではない。


 D500はD5と同じAFセンサーを使ってるため画面の7割にAFセンサーがあるから最新のミラーレスカメラと同じ感覚で場所を選べる。最も端っこを使うことはないだろうが、D500とD600/610を比べれば一目瞭然で中央に集まりすぎだと使い勝手が悪い。D750よりほんの少し、更にD800/810では、またちょっと広くなるだけでD500のような状態のFX(フルサイズ)機はない。
 D610/D750の写りが悪いから避けているのではなく、撮影の手助けをする部分に手を抜きすぎてるから。D810の機能のまま2400万画素に落としてくれたらそれでよかたし、D500をフルサイズにしてくれてもよかった。集まりで語ってみると私だけの要望じゃなかったんです。だからD610の次がD750ってのはガッカリしてる。D810から画素数だけ落としても減らせる金額はさほど下がらないんでしょうね。Canonのことを考えるとD810の後継機があるとすればソニーのイメージセンサーだけに4200万画素だろうから40万円を越えて更に買いにくくなる。2400万画素でいいからD750+5万円くらいでなんとかして欲しいもの。


 結局は万能ではないため、何かと比較すればそれぞれに言い分がでてくる。D810, D500, α7R II, α7S, EOS 5Ds R 等々と全部持つことはできない。現在所有している機材からの弱点を補う形で選ぶのが一番ではないかと。

 私が海外の検査記事を参考にする理由は、メーカーに媚びることがないことと、日本は写真雑誌による訳のわからない洗脳を受けてるから。たとえばレンズ評価において、日本だとボケ味がどうのこうのと占める割合が高いのだが、欧米では写すべきところに重点が置かれていると感じる。日本の場合はレンズ評価なのに技術的な話ばかりを持ち出すのは表現を文書化する能力が乏しいからではないかと思ってる。ならば宣伝の一環である雑誌なんて買わず百聞は一見にしかず、みんなの意見と投稿写真を見たほうが曲がった先導をされることがない。


※DP REVIEWを参考にした部分の原文は英語なので誤認識があるかもしれない。

| emisaki | 2016-05-17 Tue 08:58 | comments (0) | 映像音声::静止画(写真機材) |
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