2023-11-04 Sat
2023年11月4日22:00 テレビ朝日「ザ・ニンチドショー」番組で昭和家電をいろいろと扱っていてビデオカメラの小型の歴史をやっていたのだが、この番組ってパナソニック提供だったっけ。忖度なのか杜撰な調査なのか?
テレビ番組での杜撰が調査な部分について記述してみる(杜撰でなく意図的の可能性もあり)
現パナソニック、当時はナショナル(松下電器)がすることから揶揄されてなんて呼ばれていたかご存じないのでしょうか?「マネシタデンキ」です。他社が販売して売れたのを生産力と販売力によって模倣商品を素早く投入して市場を奪ってきたからだ。
当時の社員から販売の許可を得るのに「それ売れるの?」とではなく「それ売れてるの?」と尋ねられると聞いた。広告主が神として君臨するテレビでは絶対語らないな。
戦後の時代背景を考えると今としては仰天だが模倣品と粗悪品だったのが日本。だがビデオを発売するような時期には粗悪とはサヨナラした時代になってる。
別件で、故・手塚治虫(プロダクション)がディズニーから多く学んだ(真似た)よう言ったと伝えられ、ジャングル大帝をパクリまくったディズニーを責めなかったが裏では「勝った」と思った瞬間でしょう。
模倣は一時的な金儲けはできるかもしれないが信頼性は失墜するのである。最近ではデザインを盗用したのが採用されそうになった東京オリンピック2020のエンブレム事件を思い出す。
生まれてたけどガキだから何か興味はあっても経済面は解らない時期、あとで解ってくるが当時はソニーが市場を驚かすとナショナルが真似をする構図だった。家庭用ビデオカメラの後にはソニーが先に販売してヒットさせたミニコンポもナショナルが後から市場をさらっていった。
中には簡単に真似できない代物もあったようだ。ですから家電見本市でソニーが小さすぎるのを出して他社が無かったよう公開前に引っこめたという逸話が残ってる。
ビデオカメラだが私が子供の頃に古くなってオモチャ扱いとして譲り受けたのがある。当時の叔父さんがビデオ機器が趣味だったから色々と聞いてたから記憶を掘り返してみた。
【当時のカタログと製品年表を調べる】
家庭用ビデオカメラ+レコーダー小型化の走りと思われる対決だが、テレビ番組で伝えられたナショナル製品には元となったソニーが小型化して販売したセットがある。
1981年10月発売 ソニー
SL-F1 Betamaxポータブルビデオカセットレコーダー 199,000円 4.2kg
HVC-F1 ビデオカメラ 220,000円 2.7kg(廉価版HVC-F2 17万円も同じ重さ。旧HVC-80 2.9kg)
TT-F1 チューナー タイマー ユニット 75,000円 3.3kg
AC-F1 電源、充電器 28,000円 (TT-F1がある場合はSL-F1内蔵のまま充電可能)
NP-1 Ni-Cdバッテリー 10,000円 0.7kg
1982年7月発売 ナショナル
NV-100 アクションマックロード VHSポータブルVCR 178,000円 3.8kg
VZ-C20 ビデオカメラ 188,000円 1.6kg(ソニーと同等品 VZ-C80 238,000円 3.0kg)
VW-ET110 チューナー 60,000円
VW-A15 電源、充電器 20,000円
VW-VB10 バッテリーパック 7,500円
ナショナルは1980年にポータブル マックロードとして NV-3000、ビデオカメラはVZ-C600シリーズ、1981年には後続機として NV-3200 とカメラは VZ-700 シリーズを発売しているが大きくて重たいため除外されたか?
これ以前だと各社は Uマチック を発売していた。ソニーから Betacam (Betamaxではない)が登場するまで Uマチック(通称シブサン)は放送局では使われていたのだと思う。
昭和を扱う番組で放送局ではベータだったと言う往年のタレントがいるが、カセット形状が同じだけの放送仕様 Betacam のことを指してるから家庭用とは似て非なる物。家庭用のβII 2時間テープ(L500)で20分しか録画できない。
叔父さんに聞いた記憶を辿ってみて確証のために各種メーカーの歴史を探ると日本ビクター株式会社 HR-4100 が可搬型VHSレコーダーで世界初だった。
HR-4100 が1978年発売のため、ビデオカメラもあるはずだと探ると詳細は不明だが写真と型番は見つかって GC-4400 という二管式(たぶん輝度と色か)の大きな物が存在してることが解ったが、それは CR-4400 という Uマチック方式のビデオデッキと組み合わせて使うために発売されていた。
GC-4400 より前に GC-3300 も存在も見つけたが、カメラと別に何やら電源部のような物が必要なためビデオデッキと組み合わせた「ENG (Electronic News Gathering) 」向けとは呼べない代物。
35mm写真機用レンズにマウントアダプターという製品があり、異なる仕様なカメラとレンズを組み合わせることができるが、それと同様にカメラケーブルに変換アダプターが販売され、SONY SL-F1 が登場するまでは SONY HVC-80 と Victor HR-4100 の組み合わせて使っていたと叔父さんからは聞いていた。
私が小さい頃に叔父さん年齢だから、お亡くなりになられており当時の確認が取れないのが残念だし、生まれる前まで戻るとネット上になければ太刀打ちできない。
→ 産業技術史資料情報センター > データベース > ポータブル型VHS方式ホームビデオ「HR-4100」
古い情報を検索してウェブページに辿り着いても、閲覧はできるのだが死んだも同然のウェブサイトや営業してるのかわからない企業ばかりにぶち当たった。
【世界初ならビクター、小型の流れならばソニー製品を取り上げるべきだった】
一見するとナショナルが軽量化したように見えるが、VHSはBetamaxより画質が劣るが構造が単純で部品数が少なく分解すれば軽く作れて当然と思える。
VHSはビデオテープが「M ローディング」のため単純だが、Betamax は「U ローディング」のためカセットの小ささに比べて奥行きが長くなってる。それでも「新U ローディング」にて小型化とカタログに書いてあった。
推測するにナショナルはソニーが発売したビデオカメラのセットの小ささに驚いて、NV-100 アクションマックロード として合計重量でソニーより軽量とするためかナショナルは付属させたビデオカメラの性能をかなり低く、ピントは手動、ホワイトバランスも手動、AGC(オートゲインコントロール)なし等と、そぎ落としまくったのではないかと思われる。
まだテレビ番組のほうでも杜撰な点があり、ビデオカメラ VZ-C20 が約1.5kgとなっていたがナショナルのカタログでは約1.6kgであった。100gでもサバ読むなよ。
ネットで調べただけで複数の古いカタログ画像が出てきたからナショナル(現パナソニック)に尋ねるまでもない。付け加えるならば可能性の指摘として、テレビ番組が1.6kgじゃなく1.5kgにしてしまったのは太くて重たいケーブルを抜いて実測したのではなかろうか? そうなら製品仕様にすら辿り着いてないことになる。
使用できる状態で比べなければ意味がない。
そう考えると撮影仕様で SONY SL-F1, HVC-F1, NP-1 と大差なく、いろいろ勘案すると9ヶ月先に発売しているソニーのほうが小さいまま、そして高性能だった。撮影においても肩からぶら下げるなら厚みがあり横長よりも、薄くて縦長のほうが安定する。
最初は紙のA4サイズだが1983年にBetamaxのカセットを変えず B5サイズ まで縮小していた。番組でも紹介されたが8ミリビデオのTR55は当時のパスポートサイズだし、CDプレイヤーはCDジャケットサイズ、MDプレイヤーもMDジャケットサイズがあった。
それを越えてCDがはみ出している製品が紹介されたが、「フラミンゴ」って愛称だか名称が付けられたアナログレコードプレイヤーは針の可動部が収まる数センチメートル幅だけでレコードの大部分がはみ出していた商品の記憶がある。銀座のソニービルが解体されるときに歴代の商品が並んでいたが、そのときは見かけなかった。
1年程度で真似して販売してしまう点ではナショナルは凄いが NV-3000 という土台があったから軽量化できたのだろう。ソニーはマニアから好かれたが商売が下手でアップル社と同じだが市場との協調性が乏しく互換性のないことばかりやった。アップル社で言えばiPhone15の端子がUSB Type-Cになったが遅すぎだろ。
大きなVHSカセットを強引に小さくした「VHS-C」方式なビクターのカムコーダーが登場する BACK TO THE FUTURE が紹介されたが、その映画で例えるなら「あんたたちにはまだ早い」って製品をソニーは市場投入するから売れないで失敗することが度々あった。同じ映画で過去の日本製は粗悪品だったくだりが出てくる。でも日本人は恐るべき短い年月で粗悪品から高性能に転じさせた。
ビクターの GR-C1 は1984年発売時に世界最小最軽量だったわけだが、カメラ部とデッキ部を初めて一体化させた市販品は1983年7月ソニーのベータムービー BMC-100 である。性能がよくてもソニーには普及させるチカラがなかったためVHS派閥からソニー製品の存在が無視される傾向にあるようだ。
当時は世界の放送局用機器の大部分を占めていたソニーだからベータムービーには放送局仕様が存在していてNHKの支局員が一人で撮影できるようにとの要望だったと小さい頃にビデオ専門雑誌で読んだ記憶がある。
近年でもソニーは画質優先だから物理的な手ぶれ補正に固執してくれたが、古くは電子式の手ぶれ補正を最初に搭載したのはナショナルのブレンビー。
使うと画質が悪くなるって聞いたが当然で、当時のNTSCをデジタル画素化したら 640 x 480 程度なんだから、画像をいじって画面のブレを抑えたら画質がボロボロになる。
そういうのをソニーは採用するはずがない。
思想だけ早く搭載してくるため技術が追いつかないから値段が高額だったり動作が遅かったり昔のアップル社のようだが、違いはソニーは大衆向け製品販売で復活してない。
余談としてソニーの大罪は Walkman なんて歩きながら音楽を聴く →→ 耳を塞いだら迷惑で他人をケガさせるどころか人の命を奪う可能性もある製品を世に出し、調子こいたクソガキどもを激増させたこと。
現代で言えばスマホ片手にイヤホンが格好よいと勘違いしてる田舎者の大量発生。少なくとも大勢の他人がいる場では人間のクズ行為で、私がガキの頃にはウォークマンなんて更に小型化され存在していたけど歩きながら使うなんて有り得なかった。
当時と比べて機械の性能は上がったが、人間の性能は落ちる一方だな。
マスメディアに対する某J事務所の圧力問題なんかより企業からの圧力と企業への忖度のほうが桁違いに恐ろしいわけで、取り上げたテレビ番組ではビデオカメラなら後続の製品紹介でベータムービーや8ミリビデオとソニー製が登場するため「ソニー製品だらけ」になるのを避ける「忖度」が働いたのではなかろうか?
昭和のオーディオビジュアル家電を比べる場合、最先端を走ってたからソニー製品だらけになるのは必然なのだ。それが嫌なら白物家電を持ち出すべきだったな。冷蔵庫なんて作ってないから。
それにしても「過去の栄光」だらけだな。当然、テレビ番組もそうなるか。
子供の頃から興味があったから回想で長くなりテレビ見ながら短時間で書いたからまとまりがないのだが、それでもテレビ番組の調査って私が短時間で調べることができた内容よりも劣っていたから批判させていただいた。
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| emisaki | 2023-11-04 Sat 23:45 | 大衆媒体::テレビ全般 |
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