サイト内の移動
最新投稿
当年度ブログ内の検索
カレンダー
S M T W T F S
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
<<  2024 - 11  >>


2024 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2023 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2022 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2021 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2020 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2019 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2018 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2017 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2016 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2015 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2014 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2013 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2012 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2011 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
2010 - 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
分類
月別の記録
状態
現在: ゲストモード

ドラマ鉄道捜査官 第14弾、トリックと呼べず残念
西村京太郎サスペンス 鉄道捜査官『伊豆高原~熱海「リゾート21」号 パノラマ展望車で殺された女!箱根ゴールデンルート 空と湖の逆転アリバイトリック』
原作:十津川警部捜査行-愛と殺意の伊豆踊り子ライン 初版発行2008年11月
初回放送 2014年5月3日 テレビ朝日、再放送 2019年2月9日 21:00-23:00 BS朝日

 本日は-10~-30度の北海道にしてみればたいしたことなくても東京も雪は降っても積もらなかったが非常に空気が寒いから出かける気が全くなくなり、この再放送を見ていた。だが、違う見方をしなければ面白くも何ともなくなってしまった。

始まって1時間は作品の地固めなのだがアリバイ崩しになった瞬間に事情通としては呆れ顔に...

続きを読む ≫
<ざっくりとしたドラマ設定は>

 伊豆高原08:21→09:14熱海駅着のリゾート21車内で殺人が起き、容疑者が11:45に箱根レイクホテル(桃源台・湖尻近く)での会合に顔を出しているというアリバイ崩しである。アリバイトリックだから場所は確定しないと困るのでドラマだが施設は実在する。
※ 現時点は 08:27→09:19 近年この時刻はリゾート21ではなく普通電車

でも、穴だらけでトリックでも何でもないんだよ。いくつもの方法を紹介するよ。

 時刻は特に記述しない限り2014年放送当時のもの。全く同一のは見つからないが前後の時刻表があり、それを見ても、また現在でもたいして変わっていません。最も変わってるのは伊東線(伊豆急)の5分だが急に5分ずれたわけじゃない。

 このためじゃないけど過去の時刻表も調べたときダウンロードしてたら捨てずに保存してる。JR東海はPDFで駅の時刻表が得られるが、JR東日本はウェブページを保存するしかない。伊豆急からJRへの乗り継ぎは伊豆急の時刻表を保存しておけば静岡・名古屋からも東京から接続も同時に保存しておけるので便利。


<視聴率稼ぎか 箱根ゴールデンルートという遠回り>

 ドラマ的だとはわかってるものの、見てると「え?」って思わせてしまうのが路線を真面目に探しもせず乗ってみてダメだとするストーリーだ。その程度だから事情通はテレビ見ながら「バスあるじゃん」と思ったりするし、小田原行ってドラマ中で「箱根フリーパス」を出すわけだが、やっぱりテレビは宣伝なしでは作れないかと思ったり。

 原作ではどう扱われているか不明ですが、途中で、これは推理ドラマのくせにテレビ東京の路線バス乗り継ぎ番組を見てるより相当程度が低いなと思えてきた。だって答えがいくつも見えてたから。

 ドラマは最初、熱海駅から新幹線で小田原駅 09:28→09:36(2019年2月時点は09:29→09:36)、そこから登山鉄道、ケーブルカー、ロープウェイと乗り継ぎ、桃源台11:43到着しても、そこから走ったところで目撃されてる現地には間に合わないという結果。


<箱根登山鉄道はのろのろ運転しかできない>

 見ながら心の中では「なんで箱根登山鉄道なんて乗るんだ!小田原駅を出ろ!!」と。

 間に合わないのも当然で、登山鉄道はものすごく遅く所要時間がかかる。目的地が決まっていれば私なら使わない。登山鉄道はそれに乗るという目的でないと意味がない他所にあるトロッコ電車みたいなもんだから。

 小田原から同時スタートして登山電車が強羅に着く時刻にはバスなら芦ノ湖に着いてる。別に箱根新道を突っ切る路線じゃなく小涌園や大涌谷を経由するバスでの話。小田原 09:50→10:50 湖尻(伊豆箱根バス箱根園行き)で、湖尻からホテルまで10分、ちんたら歩いても20分はかからない。アリバイ崩れて終了。

  11時頃には辿り着けるから11:45に目撃されるなんて、アリバイ崩れすぎでしょ

 路線と所要時間がすぐ頭に浮かぶ地域だから、ドラマ見てたら「わざと遠回りしてるだろ?」と思いたくなる。ちなみに、熱海~小田原を普通電車を使ってでも間に合う。


<小田急グループに西部グループ路線を教わる>

 ドラマでは観光路線を使って間に合わないとわかってから、海賊船の船員に元箱根から熱海への路線を知る設定となっており、逆に進んで熱海駅 09:16 発から船に乗り継ぎ間に合うことに辿り着いたわけだが、私としては複数の代替路線があってアリバイ崩しとしては実につまらないものだった。

 ドラマでの解答、熱海→(伊豆箱根バス)→元箱根→(海賊船)→桃源台や小田原からバスで1本以外にも、他のバスでも間に合うから何か片側路線が運休しても大丈夫だし、芦ノ湖の船が運休になっても箱根町港・元箱根→箱根園→湖尻と路線バスで30分は前に到着できる。

 湯河原から元箱根って路線バスにも乗れるが、これは元箱根に着いて船にもバスにもつながらず間に合わないことがわかった。


<放送日を見誤ると起きる問題>

 ドラマ的に事件が起きた年月日としては正しくなるが、放送日がズレると観光地だけに乗ったことがある人が出てくるわけで変だと思い始める。路線バスは早朝便なので同じだが冬期は減便される。ドラマで熱海駅でのバス停の時刻表が映ったのは4本だが、それは冬期だけで他の季節は8本になる。また、芦ノ湖での船の運航も季節によって異なるので安定した時刻表トリックにはならない。熟知してなくても観光地で時刻表トリックの推理ドラマをする危険性だ。撮影してから編集などにより日数が経過するため放送は季節を合わせて翌年にした場合に時刻表改正があったらどうするのだろうか?


<もっと多彩なトリックを仕掛けることができた>

 もし別の時間帯で桃源台と湖尻はすぐ近くだから実は間に合ったなんてドラマ内容だったら時刻表トリックとしては救われたが、小田急グループと西部グループの双方の路線を知ってるとアリバイが崩れすぎてて推理するレベルじゃなかった。

 熱海駅で伊東線からバスロータリーまで2分とドラマが解答としたのが最も余裕がなく危険なのだ。私がこれをもっと面白くするなら、実は駅では間に合わないが、春日町から東海岸町へダッシュで階段を下って、ちょっと遠回りしてくるバスにお宮の松で乗るとかだな。でもそんなのは無駄。また、現在は時刻表が変わっており、現在の伊豆高原から熱海駅は 09:19着 で、元箱根行きバスは 09:18発 と先に出発しており上記の必殺技が成功する可能性が低くなる(次項目に別の手段)。

 もし原作時点からなら鉄道オタクであり時間通り運行の怪しいバスを考えることが少なかったり、年寄りなので突っ走るなんてことトリックとして描かれないところが西村京太郎の作りの盲点なのだが、本ドラマは原作と異なるからテレビの脚本のほうに問題がある。


<乗り換えるなら熱海駅じゃないぜ>

 さて、死亡推定時刻が09時前後であり、次に見えてくるのが放送当時の2014年で熱海駅での乗り換え猶予2分、現在では1分前に発車して間に合わなくても熱海の1駅手前の来宮駅下車してバスに乗り換えるなら確実に間に合うのだ。それだと伊東線に遅れが出て熱海駅でバスに乗るのは無理なのに実は乗れたってストーリーも描けた。熱海駅で目撃されるなど必要性がないなら、

 JR伊東線 来宮駅下車、徒歩300mで来宮神社前にて箱根方面のバスに乗れる

 このあたりが考慮されてないのも次元が低い。誰の責任かは不明だが、時刻表しか見ないで作るのではなく現場を足を使って調査しておくのがテレビドラマの制作ではなかろうか。熱海を知らなくても地図に運行ルート重ねればわかるだろ。


<ドラマ上の警察の捜査方法が昭和>

 しかし、この作品が2014年に放送されたとは思えない「20世紀か!?」って古くさいところは、当時から各所に監視カメラが存在しているのが一切無視されているところである。紛れやすい点では熱海駅の選択は正しく、同じ無人駅でも田舎と違う伊東線の駅は、とんでもない数の監視カメラが付いてる。

 監視カメラはバスに設置され始め、都会では普通電車、そして特急、新幹線にも設置され始めたため、既に古くさい時刻表を見るというアリバイトリックは机上の空論、またはド田舎でしか通用しなくなった。

 方法は書かないが、なにがしかすれば物理攻撃なしに監視カメラを麻痺または破壊するのは可能ではあるが、想定される装置では対象物は限定できず常に破壊しまくることもできないため街中の何かに映る可能性は高く逃れられない。今の監視カメラは自分自身の保安能力が弱いってことも知っておくべき。監視カメラは動作したまま混乱を起こした隙に通り抜けるなど方法がないわけじゃないがね。そういうドラマ作りではありませんけど。

 ようするに西村の爺さんの作品は古くさい社会を思い描かないと通用しなくなったのに、そのままテレビドラマにしてるのが問題。警察無線は30年以上前にデジタル化されたのに柳沢慎吾がやるアナログ無線のノイズのネタみたいなものでしょう。

24 TWENTY-FOURみたいやることやってボケかますなら許せるのだが節穴だらけは情けない。

 ともかく、西村京太郎作品を前面に出すならば、こんな代替路線の多いボロボロ状態がトリックだなんて非常に残念。誰が犯人か目星を付けられてるならば一緒にトリックを考えるのがこうしたドラマの楽しみ方ではないでしょうか。2014年当時に見てたら、アホかってもっと怒りまくってただろうな。他の作品の不手際も気になるが炎上商法に引っかかるのと同じ感じがするのであえて探してまでは見ないよ。これは名探偵コナンのほうが桁違いに高度でした。
≪ 続きを隠す
| emisaki | 2019-02-09 Sat 23:26 | 大衆媒体::テレビ・映像 |